アルファ159に乗る。
登場初年度で言えばわがアルファ155とは12年の差。
この差はデカい。デカ過ぎる。
純粋にハードウエア評価すりゃ155は足下にも及ばない。
ハンドリング、乗り心地、操作系の精度剛性感。もちろんボディ剛性も。
そしてデザインに至ってはジウジアーロだ。
でも、ヲレはこれを欲しいとは思わなかった。
これは決して負け惜しみではない。
もはや上級モデルのアルファ166に迫るボディサイズは時代の要請であるから、百歩譲って目をつぶるとしても、致命的なのはやはり「ネムい」といわれる156に輪をかけてクルマ自体が「ネムい」のだ!
エンジンのスロットルに対するレスポンスの鈍さといったらない。環境対策と称して電制スロットルと三菱から技術導入されたGDIじゃなかった。JTSと呼ばれる直噴システムが導入されている。
その直噴エンジン特有のノイズを隠そうとしてるのか音がとても小さい。回転を上げていってもシャンシャン回りはすれど、アルファ特有のカンツォーネは聞こえないし、生き物のような鼓動を感じない。ハンドリングは洗練されどステアリングへのビビッドな感触はない。
確かにインテリアはこ洒落たものになったし、演出はドアを開けた瞬間から、メーター内のディスプレイにヘビの紋章が赤々を輝くといったマネまでしてくれる。
一方走らせると実に快適だし、ナニをやっても大丈夫な安心感もある。
でも、そんな上っ面のおもてなしは、東京の「セレブ」とか言われてる奴らが通うようなやたら高いだけの料理屋みたいなもんじゃねえか!!
ヲレはこんなもんじゃ決して満足しねえ。
上っ面のおもてなしはどうでもいい!ドライブにフールプルーフな安楽さを求める現代にあって、クルマとの対話が出来る数少ない存在、それがアルファロメオじゃなかったのか。
ジュリア、スッドにフェッタ、33に75、155、そして156となんとか受け継いでいったあの熱さはもはや完全に消え去った。
残念ながら、アルファロメオも終わってしまった存在になってしまった。