相変らず解ってないなあ。バイ発日本営業所は。

 バイ発、つまりBMW*1の1シリーズが日本デビューを果たした。
 さて、何が「解ってないなあ」というと、コンパクトボディにFRレイアウトを採用したというのに、やはり日本向けにはATしかラインナップされてないからだ。
 確かに日本でのAT車の比率は95%を超えてはいる。そんな市場にMT車をわざわざ入れて不良在庫になってしまうリスクを避けようとするのは経営的には理解できる。しかし、3シリーズ以上はともかく、この1シリーズを求める層というのは、決して安楽なクルマばかりを求めているわけではなく、自ら積極的にドライブしようとするヤツも少なからず存在するわけで、「FRで前後重量配分50:50です。これでより”駆け抜ける喜び”を堪能することができます」ということだけでは説得力がない。確かにディーラーに行けば「そのためにステップトロニック機能をお付けしてます。」といわれるかもしれないがダメなんだ!
 アルファ・ロメオのセレスピードのようにエンジンとタイアの間がダイレクトに繋がるようなMTベースのATならまだ許せる。しかし、この1シリーズのATは、トルクコンバーターが介在するフツーのボルクワーナー式ATなのだ。
 おそらく、ドイツ車の常でマニュアルモードに入れても、レブリミット手前で勝手にシフトアップしちまうだろうし、トルクが足らなそうだったら、トルクコンバーターはロックアップクラッチを開放し、それでも足らなければ、勝手にキックダウンが掛かる。これじゃ、積極的に運転してしようとしても興ざめだ。アクセルとタイアの間はシャフトで繋がってるのではなく、ゴム紐で繋がってるようなもんだ。これじゃあ、肉抜きの牛丼、回らないホンダエンジン、乗り心地のすこぶる悪いシトローエン、軽自動車のようなアメリカ車、買ってすぐハデにぶっ壊れるトヨタ車だ。
 重ねて言う。こういうクルマを入れるときは通常のMTも入れるべきだ。
 当初、ATしか入れなかった時はイマイチの売れ行きだったプジョー306がMT車を入れた途端、売り上げが爆発的に伸び、後継の307に移ったいまでもMT車の比率は高いという例もあるのだ。
 「BMWを選ぶお客様はいちいちクラッチペダルを踏んで「手漕ぎ」で運転なさることを好まないお客様ばかりです」などと思ってたらこいつは思惑通りには決して売れないぞ。>バイ発日本。
 バイ発のキャッチフレーズ「駆け抜ける喜び」が泣くぞ。

*1:社名を日本語に直訳すりゃ、バイエルン発動機会社、略して「バイ発」となる。