城ヶ島へ

 昨日、なんの下調べもせず三浦半島の先端に浮かぶ島、城ヶ島へ行った。
 目的はぬこをモフりに行くこと。

京急2100形の運転席直後のかぶりつきシートとドレミファインバーターの音色で楽しむこと約1時間。
 三崎口に着いた。
 ここでは、桜の季節にいい画が撮れるというので下調べをしてみた。
 駅は丘の上にあり、丘から下る道路が桜並木になっていて、丘と丘の間にかかっている橋梁をうまくいれればいいんじゃないかと思って歩きまわった。
 しかし、ここも昔と比ベッドタウンとしての様相を呈してきており、いい位置にデカいマンションが建っているのでこれの処理が難しいところであるなあ。と、感じた。
 橋も修繕工事中で養生してあり、今ひとつ美しくない画になりそうだが、折角ここに来たのだし取り合えず撮ってみた。


・橋梁をわたる2100形。もう少しワイドにふると桜並木まで入るが、桜をフィーチャーし過ぎるとマンションが入るなかなか難しいところ。(クリックで拡大)

 時刻は三崎港に着くとちょうど正午あたり。駅のバス停には三崎港のまぐろ目当てと思しき観光客がずらりと列を成していた。
 バスは予想通り満員。三崎港まで20分立ちんぼになるわけでメシを食うにはいい運動だが、あいにくヲレはその先の城ヶ島が目的地である。
 本来ならヲレも三崎港か城ヶ島の商店街の店でマグロ料理を食すところだが、しかし、カネがないところに持ってきてさすが観光地。どいつもこいつもお高い。四日市は富田の「まぐろ会館」のあの充実したメニューを体験してしまうと、よほどのモノでない限り、特に少々無理をしてまで食うべきものではないと思ってしまうのだ。そもそも、目的はぬこ。一心不乱のぬこなのだ。
 案の定、バスが三崎港に着くと乗客の大半は降りてしまい、車内は一気に空いてしまった。

 バスは城ヶ島大橋を渡るとき、バスはえらく風に流された。
 それでも、台風並みの風が吹いているとは思ってはいなかった。

 県立城ヶ島公園は途中「白秋碑前」というバス停で降りなければならないが、東西2km弱、南北700m弱という小さい島故、端から端まで歩いてもタカが知れてるんじゃないかとそのまま島の西端の城ヶ島バス停まで乗った。

 城ヶ島の港の周りには様々な土産物店があったが、ヲレは一心不乱にぬこをさがした。
 商店の表裏、桟橋探したがいない。

 やはり東側にある城ヶ島公園まで行かなければいけないのか・・・・・

 土産物店が立ち並ぶ所を南に向け歩くと、灯台が。
「僕はとうだいを目指しているんです」(声:塩沢兼人)
 

城ヶ島灯台表側(クリックで拡大)


城ヶ島灯台裏側(クリックで拡大)


そんなところにもぬこはいない。
 磯の方に行けば、あるいは・・・・・

 と思い、灯台の階段を降り、磯に向かう。

 まもなく、第1村人ならぬ、第一ぬこ発見。

・なんとまあ、いろいろ血が混じっていそうなみごとな雑種ぶり。(クリックで拡大)

 この調子で、次々にぬこに逢える。と磯に向かう。
 看板には「県立城ヶ島公園まで1.1km」
 なら大したこたあないなあ・・・
 と歩き出した瞬間・・・・

 どへえ!スゲエ風!
 そんでもって足元は岩でガタガタ。
 
 波しぶきは次々とかかってくるわ、重重量、低重心を誇るヲレの体をあっさり狭い足場から落とそうとするわ、このまま島を横断できるのか。

 ちょいと歩いてふと後ろを見る。

 

・なんかむかーし仮面ライダーやゴレンジャーが戦っていたようなかのような比較的フラットな岩場。(クリックで拡大)
 天気が良ければ、富士山まで見えそうなんだが、霞がかかっていて今日は見られず。

 しかし、本当に風がキツイなあ。
 蹴っ飛ばせばポッキリ折れそうな細ーいオネーサンが
「だからこんなとこ行くのヤだって言ったじゃんか!」
 と彼氏らしきヤローに文句言ってたが、ハイヒールにミニスカというそんなカッコでこんな岩場に来る奴が悪い。

 片や磯釣りの釣り人の人がさらに波打ち際に向かっている。
 こんだけの波にも関わらず厳しいところに向かうところを見るとよほどいい獲物が釣れるんだろう。

 いや本当に波もすげえ。
 東映のあの「ざっぱーん」はここで撮ったんやろか。

 正面から撮ろうとするとエライ目に遭いそうなので、横から撮ってみる。


・冬の日本海のような波。(クリックで拡大)
 まあ、良く考えてみれば、太平洋に向かって障害物がないわけだからこんだけの波が来るのもしょっちゅうなんだろう。

それにしても岩また岩。



・右側に見えるアーチ状の岩は"馬の背洞門"といい、昔はあの下を船でくぐることができたそうなのだが、関東大震災で地面が隆起して、底が海面から上がってしまったとのことだ。(クリックにて拡大)

 砂浜では海藻なんかがうち上がっていたのだが、足元の感覚がちと変わって足元を見る。

・砂や小石に混じって貝殻がたくさん。(クリックで拡大)

重い砂、デコボコな岩場。
 その岩場では露頭があちこち散見される。

・なんか地質学を学んでいる学生が喜びそうな露頭。(クリックで拡大)

目の前に馬の背洞門がずっと見えていたのになかなかたどり着くことができなかったが、ようやくたどり着いた。

・馬の背洞門前。(クリックで拡大)

これ以上は、海岸沿いを歩くことはできない。
 馬の背洞門の向こうは崖が切り立っているからだ。
 馬の背洞門の脇のやたら段差のある階段をよじ登り、丘の上へ登る。

 そこはなんかどこかで見た風景。県立城ヶ島公園に向かう細い一本道の両脇にはヲレの背を遥かに超えるススキが生い茂っている。
 やっぱどこかで見た風景。夏場に訪れて、ピアニカ前田の曲なんかずっと聞いていたいような風景。
 既視感に捉えられ、ずっと何かを思い出すように写真を撮ることも忘れ歩いた。

 するとわずかに開いた場所に展望台が現れた。

・島の西側を望む。西端から海伝いに歩いてきたのだ。(クリックで拡大)

 うーむ、やはりどこかで見たような風景。思い出せない。


・島の東側。白いところはウミウの繁殖地。(クリックで拡大)

 この写真を撮った後、少し歩くと、ようやく城ヶ島公園に到着。
 丘の上のこの公園にも風は容赦なく吹付けてはいたが訪れる人は結構いた。

 磯の光景、丘のどこかで見たような光景の前にぬこはどうでも良くなりつつはあったが、初志を思い出し公園内を進む。

 そして、そして、ようやくぬこ発見。

・目のあたりがちょいとかわいそうだが、なんとオッドアイの白ぬこ(クリックで拡大)
 レンズを向けるとよっこらせと行った風情ででてきた。


・そして背中で何かを語るのだ。(クリックで拡大)

 声がしたのですぐ脇の茂みを見る。

・犯人はニャす。(クリックで拡大)
 コッチの方はなかなかこっちには出てこない。それどころかぷいとどこかに行ってしまった。


・昨日載せた茶トラぶち。モフり撮り。(クリックで拡大)
 実は、あのヤル気のないショットを撮った後、公園の奥までいって別のぬこを探しに行った後、同じ場所に戻ってきたのだが、このぬこ、DQN風なバカップルには怒りを表明。しかし、ヲレが戻ってくるとすぐに擦り寄ってきた。


・こんな感じですっかりくつろぐ。(クリックで拡大)

 このぬこをお持ち帰りしたい衝動を抑え、展望台に行けば、札幌から来たというオバチャン、高級食でぬこを釣る。あんまりいいことではないのだがなあ。とおもいつつレンズを向けてしまう。
 先程の無愛想なぬこ、ちゃっかりお呼ばれする。

・こっち見んなという風情。目つき悪。(クリックで拡大)


・しかし、旨そうに食ってやがる。(クリックで拡大)

 さて、15時を過ぎ、強風と島の横断に体力を失ってしまったのでそろそろ帰ろうかと入り口に近づいた時、茶トラぬこがよってきた。

・喉を撫でてやると、転がった(クリックで拡大)


・そんでモフった(クリックで拡大)

 こいつもお持ち帰りしたくなったが、ここはグッとこらえてバス停に向かった。


 バスはずっと立ちっぱなし。もうヘロヘロになった帰りの京急の車中で、島を横断中に感じた既視感のことを考えた。
 ピアニカ前田・・・・背の高いススキ、強い風、丘に岬。
 ここは三浦半島・・・・ヲレは横浜で出稼ぎ。
 横浜・・・・・・

「あ。」

 ヨコハマ買い出し紀行だ!
 実際のヨコハマ買い出し紀行の舞台のモデルとなったのは、城ヶ島よりちょい西の方、小網代湾内らしいのだが、あのススキの茂みの向こうにカフェ・アルファがあるようなそんな感覚に襲われていたのか。
 さんざんススキの小道は出ていたわけだし、カフェ・アルファは岬の上にあるわけだから。さんざんヨコハマ買い出し紀行を読んでいたヲレに既視感をもたらしたということだ。既視感に関してはこれで解決。
 
 ぬこを尋ねたこの小旅行、城ヶ島の磯の香り、丘の上のススキの小道、もちろん城ヶ島公園のぬこたち。
 カラダは疲れ、今日も全身イタイがいい小旅行だった。またこの島に訪れたいと思う。